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2010年9月

許されざる者

「許されざる者」

製作年: 1992年

製作国:アメリカ

監督: クリント・イーストウッド

出演者: 

(ウィリアム・ビル・マニー) クリント・イーストウッド

(リトル・ビル・ダゲット) ジーン・ハックマン     

(ネッド・ローガン) モーガン・フリーマン

(イングリッシュ・ボブ) リチャード・ハリス

(スコフィールド・キッド) ジェームス・ウールヴェット

「ストーリー」はウィキ・ペディアより 

1880年のワイオミング州。小さな牧場を営むウィリアム・ビル・マニーはかつて列車強盗や殺人で名を馳せた伝説的なアウトローであったが、11年前に妻と出逢ってから改心し酒も止めた。二人の子供にも恵まれたが作物は満足に育たず3年前に妻にも先立たれてしまった。

そんな或る日、マニーの元をスコフィールド・キッドと名乗る若い賞金稼ぎが訪れた。キッドによると、とある売春宿で客の牧童が「泥酔して娼婦の顔を切り刻み、目玉をえぐり出し、乳首を切り取った」カウボーイが、保安官の裁量で、馬7頭分の賠償金を支払うという約束だけで、自由の身になるという事件が起こった。

怒った娼婦たちが、カウボーイを殺した者に1000ドルの賞金を出している。というのだ。キッドは冷酷無比であるという伝説を持つマニーと手を組み賞金を得ようと考えていたのだ。

しかしマニーには11年という永いブランクがあった。馬も自由に乗りこなせなくなり、二人の子供もまだ幼い。それでも、不当に殺された娼婦の敵討ちをすれば大金が手に入り、生活が楽になると考えたマニーは悩み抜いた末、再び銃を手に取ることを決意した。

マニーはかつての相棒であるネッド・ローガンを連れて街へ向かった。その頃ダゲットは噂通り暴力的な方法で街を牛耳っていた………。

Yurusarezarumono

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆ 

カウボーイの客が娼婦に小馬鹿にされたことから憤ってナイフで娼婦の顔を傷付ける振る舞いは残虐無比に違いなく、ところが保安官のダゲットが調停に乗り出し、馬7頭分の賠償金で縛り付けておいたカウボーイを解放する。

腹の虫が収まらないのが顔を傷つけられた当人とその娼婦仲間。お互いの懐から寄せ集めて1000ドルを捻出し、二人のカウボーイを殺した者には賞金として差し出すとの風聞を街に流す。

その風聞に飛びついたのが、人も殺したことのないキッドという青年。キッドはマニーを訪ねて手を組まないか、と言う。このマニーを演ずるのがクリント・イーストウッド。

11年前に妻に出逢ってから人間らしさを取り戻し、これまで列車強盗などを働いて子供を殺すことなど平気でやっていた男だ。改心のきっかけになった妻はとうの昔に亡くなり、今では子供二人と小さな牧場を営む。

収入も乏しく、子供の将来の事を考えて悩みぬき、結局マニーはキッドに協力する。だがマニーは銃を扱わなくてなってから11年、馬にも満足に乗りこなせない始末だ。マニーの嘗ての相棒ネッド・ローガンも加わり、3人で二人のカウボーイを追う。

ところが賞金稼ぎを固く戒め、暴力的に街を支配している保安官はマニーを鉄拳で制裁する。瀕死の状態に陥ったマニーはようやく回復し、まずは一人のカウボーイを撃ち殺す。

もう一人のカウボーイはキッドが討ち果たしたが、その前に人を撃てないと悟ってマニーやキッドのもとから去ったネッド・ローガンが殺人罪を言いがかりにして保安官になぶられるようにして殺された。

ネッド・ローガンの死体を店先にさらしている酒場にマニーは単身乗り込む。マニーの怒りは真っ先に死体を放置している酒場の店主に向けられ、射殺する。このことをきっかけにして銃撃戦になり、保安官のダゲットや仲間を撃ち殺す。マニーは「娼婦を人間らしく扱え」と言って街を去った………。

アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞して傑作としての評価が高い映画。しかし、自分にとってはすんなりのめりこめないところがあったのは事実。

娼婦の顔を傷付ける振る舞いはむごたらしい行為に違いないのだが、そのことでもって命乞いをしているカウボーイ二人を無慈悲に殺す動機たり得るのか。

親友ネッド・ローガンの死体をさらした責任は店主にある、と怒り心頭に発して有無も言わせずに射殺したのも同じ。手放しでは共鳴できなかったというのが映画を観た率直な感想。趣味の合わない映画だと思った。

情婦

「情婦」

製作年:1957年

製作国:アメリカ

監督: ビリー・ワイルダー

出演者: 

(レナード・ヴォール)  タイロン・パワー

(クリスチーネ)  マレーネ・ディートリッヒ

(ウィルフリッド・ロバーツ)  チャールズ・ロートン

(ミス・プリムソル)  エルザ・ランチェスター

「ストーリー」はオールシネマ オンラインから

アガサ・クリスティが自身の短編小説を基に戯曲化した『検察側の証人』の映画化。ミステリー映画というジャンルの中で、間違いなく最高峰に位置する傑作である。

金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられたレナード(パワー)は、老齢ながらロンドンきっての敏腕弁護士ロバーツ(ロートン)に弁護を依頼。

だが“検察側の証人”として法廷に立ったレナードの妻クリスティーネ(ディートリッヒ)から、思いもかけない証言が発せられた……。ミステリーの解説ほど馬鹿げたものはないので、これ以上ストーリーは語れない。

ストーリーだけでも充分面白い作品だが、それだけでは名作には成りえない。ロートン、ディートリッヒ、パワーの芸達者ぶりと、ワイルダーの語り口の上手さがあってこそ、ここまでの完成度を誇る映画となったのだ。

それは、82年にTVムービーとしてリメイクされた「検察側の証人」が物語以上の魅力を持ち得なかった事でも明らかであろう。

Zyoufu

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

とにかく意表を突く映画。どんでん返しのうえにさらにどんでん返しという、映画のタイプとしては、こういうのはあまり好きではない。

それはそれとして法廷劇としての展開は片時も目が離せないほど面白かったのは事実。二時間もの長編も長くは感じないくらいだった。

金持ちの老夫人を殺害したとの容疑からタイロン・パワーは逮捕され、証言台に立った妻のマレーネ・ディートリッヒがタイロン・パワーに不利な証言を述べ、ところがこれは無罪に導くための芝居。マレーネ・ディートリッヒはさらに芝居を打ち、これが何と変装して妻の知人になりすまし、タイロン・パワーの弁護士に近づいて妻の証言は虚言との証拠を示す手紙を渡す。

この新たな証拠品が鍵になって無罪を勝ち取るが、しかし何かしら弁護士はしっくりこない。

映画を観ている方もあくまでもタイロン・パワーが殺人を犯す、とは毛ほども疑っていないし、また妻が嘘の証言で罪に問われるにしろ、嘘は愛する夫のためで、もともと夫は無罪の身の上であるし、ここのところは嘘も方便ということで観ている方も納得するだろう。

これで目出度し、と思いきや、ところが次のどんでん返しにはさすがにびっくりした。持病をおして鮮やかな手際で弁護を務めていた弁護士もこれでは報われない。

映画の内容にそぐわない「情婦」というタイトル、これはタイロン・パワーにとってマレーネ・ディートリッヒがこのような存在に過ぎなかったという意味なのか。

タイロン・パワーは「愛情物語」でピアニストを演じて明るい役柄でいっそう引き立つように思われ、「情婦」での複雑な陰影を持つ役柄は適役とは思えなかった。

断崖

「断崖」

製作年: 1941年

製作国:アメリカ

監督: アルフレッド・ヒッチコック

出演者: 

(リナ・マクレイドロウ)  ジョーン・フォンテイン

(ジョニー・アイガース)  ケーリー・グラント

(ビーキー)  ナイジェル・ブルース

「解説」はオールシネマ オンラインから

原題が示すように、夫に対して“疑惑”の念に取り憑かれた妻を描いたヒッチコックの心理スリラー。原作はフランシス・アイルズの『犯行以前』。ずさんな財産管理の仕方や、懸命に毒薬について調べている夫の姿を見て、妻の疑念は日々増していく。

そして、家を出ようとした妻を乗せたまま、夫の運転する車は断崖目指して突き進む……。

映画は、完全にJ・フォンテイン(アカデミー主演女優賞受賞)演ずる妻の主観で丹念に描かれているため、彼女が次第に被害妄想となり夫に殺されるかもしれないという感情にいたる過程が非常に理解しやすいものになっている。

C・グラントが夫に扮し、曖昧な芝居を見せているのも効果的。'87年にバリー・レヴィンソン製作によって「サスピション/断崖の恐怖」としてリメイクされた。

Dangai

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

社交界で名うてのプレイボーイ、ジョニーを演ずるのがケーリー・グラント。妻のリナはジョーン・フォンテインが演じて資産家の娘だが、結婚に至ったのは打算からではなく、お互いに惹かれあったからだ。

放蕩三昧に暮らしていたジョニーの素行は結婚後もあらたまる様子は無く、特に金銭にだらしないことがおびただしい。豪華な新婚旅行に加えて住まいとして借りた豪邸にしかもメイド付き、リナはジョニーが一文無しであることを知ったのは結婚後間もなくだった。

全てがリナの財産をあてにしての行いであり、さすがにリナもあきれて、ジョニーに仕事をすることを勧める。務めたのはジョニーの従弟が経営する不動産会社。ところが会社の金を使い込んでクビになり、催促を迫られる。

その折り、ジョニーの親友ビーキーが現れ、今度はこの親友の懐を当てにして事業を計画する。断崖で海辺に接する景勝地にリゾート地を造る事業だ。杜撰な計画もあって、このプランも実行の初期の段階でご破算。

こういうことが積み重なってジョニーへの不信が募り、挙句には金目当てでビーキーを殺すのではないかとまでリナは疑う。そしてビーキーは不審な死を遂げる。

さらに今度は保険金目当てに自分が殺されるのではないか、とリナは脅迫の念に駆られ、それが昂じて心理的パニックに陥る………。

原題は疑惑と言うそうであり、まさしくリナのジョニーに対する不審は疑惑だったというのが結末である。

リナがジョニーに寄せる疑惑の態度、それに応えるジョニーの表情は事件に手を染めてそれを見すかされてしまった戸惑いなのか、あるいは事実無根の言いがかりという戸惑いなのか、この表情が曲者だ。

キリング・ミー・ソフトリー

「キリング・ミー・ソフトリー」

製作年:2002年

製作国:アメリカ・イギリス

監督: チェン・カイコー

出演者: 

(アリス)  ヘザー・グラハム

(アダム)  ジョセフ・ファインズ   

(デボラ) ナターシャ・マケルホーン

「ストーリー」はウィキペディアより

ロンドン在住のアメリカ人のアリスは、ウェブサイト開発を担当するキャリアウーマン。恋人とは同棲中で、それなりに幸せな日々を送っていた。しかしある朝、出勤途中の交差点で、見知らぬ男の視線を強く感じる。

会社でも男のことが頭から離れず、会社を飛び出し、男のあとを追う。そして、男と再会すると、誘われるままに男の家で、今まで味わったことのない激しいセックスを体験する。

今日限り…と自分に言い聞かせるが、アリスの体は再び男の元へと向いてしまう。そしてその日から、アリスの周りで不可解な出来事が起こり始めるのだが………。

Kiringu

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

映画館で一度観ている映画。今回、DVDを借りて二回も観た。過激なエッチシーンも確かに興味のひとつだったが、ところでサスペンス映画というのは、例えば字幕でもひとつ見逃したり、またヒントになる映像を見逃したりしたら、その後の展開に付いていけないことがある。

この映画も映画館で観た当時はおそらく内容を掴んでいなかったはずだ。今回はDVDで一回目を字幕で観、二回目は日本語吹き替えで観た。いつも字幕で観ているのに、さらに日本語吹き替えで観たというのは始めてのことである。

その結果、ちょっとした発見は吹き替えの方が分かりやすく、その場その場の雰囲気がよく伝わること。ミステリーやサスペンスなどの謎めいた映画は、案外と吹き替えの方が分かりやすいのかな、などと思った。それでもやはり字幕で観てしまうのは、俳優の生の声を聞きたいからである。

監督のチェン・カイコーは「さらば、わが愛/覇王別姫」を作った人だったんですね。中国の映画監督で「キリング・ミー・ミストリー」はハリウッド進出の第一作とのことである。

プラトーン

「プラトーン」

製作年:1986年

製作国:アメリカ

監督: オリヴァー・ストーン

出演者  

(クリス・テイラー)  チャーリー・シーン      

(ボブ・バーンズ2等軍曹)  トム・ベレンジャー

(エライアス・グロージョン3等軍曹)  ウィレム・デフォー 

「解説」はオールシネマ オンラインより

実体験を基に描かれた、オリヴァー・ストーン監督によるベトナム映画。クリス・テイラーがベトナムにやって来たのは1967年。大学を中退してまでベトナムに志願したのは、次々と徴兵されてゆく彼と同年代の若者たちのほとんどが、少数民族や貧しい者たちだった事に対する義憤からであった。

だが、いきなり最前線の戦闘小隊に配属されたテイラーにとって、戦争の現実は彼の想像をはるかに超えた過酷なものだった……。

ベトナム戦争を題材にした映画は数多く製作されたが、本作はその中でも傑出した作品だ。とにかく各シーンの描写が凄い。兵士たちの歩く動作、銃器の扱い、スタイル、持ち物、そして雨や泥によって曇りがとれなくなった腕時計や、泥の川で足が腐るなどの湿地帯である環境が生み出す様々な影響。

そういった些細な描写から、照明弾によって揺らめく木々の影や、暗闇の最前線で敵も味方も分からなくなっている狂気の様子、たこつぼの中で待機している兵士の恐怖感などの、まるでそこに立ち会っているかのような臨場感溢れる戦場シーンまで、そのリアルな描写にはまさに驚きの一言。

これらリアルな描写の中に、戦争が生み出す狂気、愚かしさ、ひいてはアメリカ大国の責任を問うストーンの姿がある。アカデミー作品・監督賞受賞。

Platoon

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

封切り時に一度映画館で観ている映画。今回DVDを借りて24年振りに観た。映画のストーリーも忘れていた。ただベトナム戦争に徴兵される若者は貧困家庭あるいは少数民族に多いという現実は、おそらくこの映画で知ったのではないかと思う。

大まかなストーリーの流れは、北ベトナムを駆逐する任務を全うするボブ・バーンズ2等軍曹と、戦争の意義に懐疑的なエライアス・グロージョン3等軍曹との対立を通して戦争を描いたもの。

そしてそこから訴えたかったのは、虐殺もともなうむごい戦争の実態、軍隊内の軍規の乱れ、兵士間の対立を取り上げて戦争下での集団の行動はいかに理性を相いれないものか、また戦争が人間にもたらす異常な心理を浮かび上がらせて人間のもうひとつの一面である残酷さをリアルな映像で突き付けたということだ。

真実の行方

 「真実の行方」

製作年: 1996年

製作国:アメリカ

監督: グレゴリー・ホブリット

出演者: 

(マーティン・ヴェイル) リチャード・ギア

(ジャネット・ヴェナブル) ローラ・リニー     

(ジャッジ・ショート) アルフレ・ウッダード

(モリー・アリントン) フランシス・マクドーマンド

(アーロン) エドワード・ノートン

「解説」はオールシネマ オンラインより

大司教惨殺事件で逮捕されたのは、彼の侍者のアーロンという青年だった。売名家と呼ばれている弁護士マーティンは、事件の話題性から無償での弁護を申し出た。

あどけないアーロンの表情を使ったマーティンの作戦も、明らかにされていく宅地開発に絡む大司教への恨みや“悪魔払い”の名のもとにビデオに収められた醜聞も、元恋人の検事ジャネットによって次々と提出される物的証拠の前にはなす術が無かった。そんな時、アーロンの精神分析を担当したアーリントン女医がつかんだ事実とは………。

二転三転するプロット、憎々しいR・ギア、緊迫する法廷、すべてが一級品の法廷サスペンスとなっている。しかし何といっても圧巻は、ゴールデン・グローブ助演男優賞をはじめ数々の賞に輝いたアーロン役のE・ノートンである。

彼の笑顔の下に隠された不気味な演技が作品の面白さを決定づけている。ラスト、名声に背を向けるギアの表情も実に良い。

Sinzitu

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

このブログのタイトル(いい映画みつけた!)にふさわしい映画だった。

とにかく面白かった。

大司教ラッシュマンの惨殺死体が自宅で発見される。容疑者である19歳の青年アーロンは逃亡中だが、ヘリコプターも上から追跡して逮捕されるのは時間の問題。アーロンの弁護を無償で買って出たのが辣腕弁護士のマーティン・ヴェイルを演ずるリチャード・ギア。

さっそくアーロンとの面会にこぎ着け、その話では大司教に助手として仕え、父親のようにして慕っているので殺す理由はないと言う。さらに突き詰めてみると、アーロンは殺害現場をふとしたはずみで覗き、その時に何者かの人影が自分を襲って来て、それ以後の記憶は消えたと言う。

裁判の初公判が行われ、対する検事側の担当者は州検事ショウネシーが指名したマーティンのかつての弟子で恋人でもあったジャネットである。シャネットは当然のごとくアーロンを第一級殺人罪で告訴する。

マーティンはアーロンに黙秘を指示して時間を稼ぐ一方、精神科医アーリントンにアーロンの記憶の途絶えているところの分析を依頼する。

一方検察側のジャネットはラッシュマンの死体の無数の刺し傷に“B32-156 ”の文字を刻み付けられているのをヒントにし、それが教会の図書室にあった「緋文字」という本の記号に符合していることを知る。本のページをめくってみたらアーロンが明らかに大司教を恨んでいたことを根拠とする文章があったことを突きとめる。

マーティンは飽く迄も法廷では第三者の犯行であることを主張して譲らない。アーロンの精神分析も回を重ねているが、あるところまで来たらそれ以上言うのが辛いのか、動揺を精神分析医に見せる。

事件後姿をくらましたアーロンの恋人リンダの行方、そしてアーロンの友達から聞きだした、いかがわしいビデオテープの存在。そのビデオテープには実は大司教に強要されて行ったアーロンとリンダとの性行為の描写が映っている。

その真相を巡ってマーティンはアーロンに拘置所内で詰め寄るが、突然態度が豹変してマーティンに暴力を振るう。精神分析医もマーティンもここでアーロンが二重人格者であることの確証を掴む。

つまりアーロンの内にもう一人の人格者であるロイという人物が存在し、精神的にも肉体的にもひどく圧迫された状況に追い込まれると別の人物になり変るのだ。精神異常者として扱われれば罰することは適わず、当然の処置として病院送りになる。

法廷での最終審理、ジャネット検事の犯行に及んだ動機への追及に歯に衣を着せずに言葉を浴びせてマーロンは色めき立ち、顔面蒼白になって態度が豹変する。メス豚とジャネット検事をののしり、被告席から壇上を躍り出て検事に襲いかかって首を絞める。

このことを予期してのマーティンの作戦だったのだが、これでアーロンの精神異常者としての立証を果たすことが出来た。

そしてエピローグのマーティンとアーロンとの拘置所内での会話。アーロンに“裁判は中止になり、君は病院に入院することになるが、すぐに出られる”と。

アーロンは感謝の言葉を述べ、背を向けて拘置所を去って行くマーティンに向かって何気なく一言を言う。“ジャネット検事にお詫びを言って下さい、早く首がよくなるように”と。

ぶったまげた一言だった。二重人格者などではなく、全てがお見通しの上での演技だったのだ。映画を観ている人も見事に裏をかかれたのである。アーロンを演じたエドワード・ノートン、この俳優の演技はただものではない。

シャレード

「シャレード」

製作年:1963年

製作国:アメリカ

監督: スタンリー・ドーネン

音楽: ヘンリー・マンシーニー

出演者 

 (ピーター)  ケーリー・グラント      

 (レジーナ)   オードリー・ヘプバーン

 (バーソロミュー)   ウォルター・マッソー

 (スコビー)   ジョージ・ケネディ

 (テックス)  ジェームズ・コバーン

 (ギデオン)  ネッド・グラス

「あらすじ」はオールシネマ オンラインより

スキー場からパリの自宅へ戻ってきたレジーナ(オードリー・ヘプバーン)を待っていたのは、離婚予定だった夫の死。葬儀の会場には見知らぬ三人の男が現れ、大使館では情報局長(ウォルター・マッソー)から、戦時中に夫が軍資金25万ドルを横領していた事を聞かされる。

五里霧中のレジーナはスキー場で知り合ったピーター(ケーリー・グラント)に助けを求めるが、彼もまた三人組の仲間だった……。数々のミュージカルを手掛けてきたS・ドーネンが、その洒落たセンスを活かして作り上げたミステリー・コメディの傑作。H・マンシーニのメロディが怪しくも美しい………。

Syaredo                     

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

リバイバル上映で、一度映画館で観て今回改めてDVDで観なおした。おそらく40年振りに観た映画だと思う。「ティファニーで朝食を」のDVDも一緒に借りて観たが、これは初めて観る映画。

「ティファニーで朝食を」で共演した恋人役はジョージ・ペパートという俳優、「シャレード」はケーリー・グラントで、いずれもがすぐその場で打ち解けて胸襟を開くというのは初対面ではあり得ないことのように思えるのだが、特に「ティファニーで朝食を」を観てそう思い、そしてこれは木を見て森を見ないとの感想でしかないことは百も承知なのだけども。

さて、「シャレード」の方。夫殺しの犯人が、ウォルター・マッソーが演ずるバーソロミューであることを最初から察したのは一度観ていたせいでしょうね。ストーリーの方は完全に忘れているのだが、エピローグでバーソロミューが舞台の照明ボックスに身を潜めているヘプバーンを追いつめて行くシーンだけは何となく覚えていた。

もし、「シャレード」を初めて観たら、一番犯人らしくないのがおそらくバーソロミュー、ピーターを演ずるケーリー・グランドも何やら怪しい行動を取って気の抜けないところがある。

例えば他の怪しげな3人、スコビーにテックスそしてギデオンの密会しているところにも出向き、この設定はどういう意味があったのか、確認しないまま一度観たきりでDVDを返したのは今にして思えば迂闊だった。

失踪

「失踪」

製作年:1993年

製作国:アメリカ

監督 ジョルジュ・シュルイツァー

出演者

 (ジェフ)  キーファー・サザーランド    

(バーニー)  ジェフ・ブリッジス

(リタ)   ナンシー・トラヴィス

(ダイアン)  サンドラ・ブロック

「解説」はオールシネマ オンラインより

ジェフ(サザーランド)の恋人ダイアン(ブロック)がドライブの途中、サービス・エリアから忽然と失踪した。数年に渡って捜し歩いていたが手掛かりは何も無かった。

疲れ果てた彼は知り合ったリタ(トラヴィス)に慰めを得るが、ダイアン捜しは諦めない。既に愛ではなく、何故失踪したかという疑問のために。自分への愛情を疑い、リタが離れようとした時、犯人と名乗る男バーニー(ブリッジス)が姿を現す……。

ローギアのまま静かに進み続けるサイコサスペンス。緩慢なのではない。怠惰でもない。しっかりと力を溜め込んでいるのだ。トップに入るのが、結局自己中心的な登場人物達の運命が収束する、決して心安らかと言えないクライマックスだとしても………

Sisou

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

レンタル屋の棚からつまみだして何となく借りたのが、この「失踪」という映画のDVD。内容はサービス・エリアで今まで一緒だった恋人がちょっとした隙に姿を消し、血眼になって付近を捜しても、結局見つからなかった。

行方不明になった恋人ダイアンを演ずるのがサンドラ・ブロックで、事件に巻き込まれた後は映画ではそれっきり登場しない。今をときめく人気スターのサンドラ・ブロックも、この映画では脇役でキアヌ・リーブスと共演した「スピード」でスターダムの地位にのし上がったのは一年後のことである。

映画の冒頭からバーニーを演ずるジェフ・ブリッジスは見るからに怪しい風体で、誘拐犯であることは一目瞭然。眼をそむけるほどの残虐な場面は無いが、犯行の手口は背筋が寒くなるほど恐ろしい。

何年にも亘ってダイアンを捜し求めるジェフの前に突然バーニーが姿を現す。ダイアンが生きているとも死んでいるとも言わずに、行方を知りたければ追体験することだ、と睡眠薬の混入しているコーヒーを飲むことをジェフに勧める。

ジェフが目覚めたら地中の棺桶のような箱の中だ。生き埋めの状態から九死に一生を得ることが出来たのは新しい恋人リタを演ずるナンシー・トラヴィスの機転による。

当然のことながらダイアンはこの世には存在しない。犯行のつまびらかな描写は無いが、そのことを想像して戦慄を覚える映画である。

ブリット

 「ブリッド」

製作年: 1968年

製作国 : アメリカ

監督  ピーター・イェーツ

出演者  

(ブリット) スティーブ・マックィーン     

(チャーマス) ロバート・ヴォーン     

(キャシー) ジャクリーン・ビセット

あらすじはウィキペディア(電子辞書)より

サンフランシスコ警察の敏腕刑事ブリット(スティーブ・マックイーン)は、野心的な政治家チャーマス(ロバート・ヴォーン)から裁判の重要証言者の護衛を命じられる。その証言者とは、ジョー・ロスというマフィアを裏切った男。

ところが、ロスはブリットが目を離した隙に何者かによって射殺されてしまう。チャーマスに叱責されるブリット。しかし、その叱責など意に介することなく、ブリットは黙々と事件の背後に潜む男を追い詰める……。

Bullitt

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

リバイバル上映で一度映画館で観た映画だが、何よりも印象の残っているのはカーチェイス・シーン。サンフランシスコの急坂道を車で駈け上がったり、駈け下ったりして車が道路上から浮くシーンを今回DVDでもう一度観て、やはり見ごたえがあった。

ストーリーの展開が緩やかで今時の映画に比較すればテンポがまだるっこい感じもするが、カーチェイス・シーンはスリル満点である。ところでカーチェイス・ジーンは時間で言うと7、8分ほどの長さである。

スティーブ・マックィーンが主役で、自分が子供の頃にテレビで放映されていた「拳銃無宿」で一躍有名になった俳優。放映していた1958年頃には「ライフルマン」などともにテレビにくぎ付けになって観ていたものだ。

ちなみに「ライフルマン」の主役はチャック・コナーズという俳優だが、映画で観たのはグレゴリー・ペック主演の「大いなる西部」で一度くらい。

一方、スティーブ・マックィーンの映画界での活躍は目覚ましいほどで次々に主役を演じている。観た映画だけを上げれば「荒野の7人」「大脱走」「ネバダ・スミス」「砲艦サンパブロ」「華麗なる賭け」「華麗なる週末」「ゲッタウェイ」「パピヨン」「タワーリング・インフェルノ」など。

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