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情婦

「情婦」

製作年:1957年

製作国:アメリカ

監督: ビリー・ワイルダー

出演者: 

(レナード・ヴォール)  タイロン・パワー

(クリスチーネ)  マレーネ・ディートリッヒ

(ウィルフリッド・ロバーツ)  チャールズ・ロートン

(ミス・プリムソル)  エルザ・ランチェスター

「ストーリー」はオールシネマ オンラインから

アガサ・クリスティが自身の短編小説を基に戯曲化した『検察側の証人』の映画化。ミステリー映画というジャンルの中で、間違いなく最高峰に位置する傑作である。

金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられたレナード(パワー)は、老齢ながらロンドンきっての敏腕弁護士ロバーツ(ロートン)に弁護を依頼。

だが“検察側の証人”として法廷に立ったレナードの妻クリスティーネ(ディートリッヒ)から、思いもかけない証言が発せられた……。ミステリーの解説ほど馬鹿げたものはないので、これ以上ストーリーは語れない。

ストーリーだけでも充分面白い作品だが、それだけでは名作には成りえない。ロートン、ディートリッヒ、パワーの芸達者ぶりと、ワイルダーの語り口の上手さがあってこそ、ここまでの完成度を誇る映画となったのだ。

それは、82年にTVムービーとしてリメイクされた「検察側の証人」が物語以上の魅力を持ち得なかった事でも明らかであろう。

Zyoufu

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

とにかく意表を突く映画。どんでん返しのうえにさらにどんでん返しという、映画のタイプとしては、こういうのはあまり好きではない。

それはそれとして法廷劇としての展開は片時も目が離せないほど面白かったのは事実。二時間もの長編も長くは感じないくらいだった。

金持ちの老夫人を殺害したとの容疑からタイロン・パワーは逮捕され、証言台に立った妻のマレーネ・ディートリッヒがタイロン・パワーに不利な証言を述べ、ところがこれは無罪に導くための芝居。マレーネ・ディートリッヒはさらに芝居を打ち、これが何と変装して妻の知人になりすまし、タイロン・パワーの弁護士に近づいて妻の証言は虚言との証拠を示す手紙を渡す。

この新たな証拠品が鍵になって無罪を勝ち取るが、しかし何かしら弁護士はしっくりこない。

映画を観ている方もあくまでもタイロン・パワーが殺人を犯す、とは毛ほども疑っていないし、また妻が嘘の証言で罪に問われるにしろ、嘘は愛する夫のためで、もともと夫は無罪の身の上であるし、ここのところは嘘も方便ということで観ている方も納得するだろう。

これで目出度し、と思いきや、ところが次のどんでん返しにはさすがにびっくりした。持病をおして鮮やかな手際で弁護を務めていた弁護士もこれでは報われない。

映画の内容にそぐわない「情婦」というタイトル、これはタイロン・パワーにとってマレーネ・ディートリッヒがこのような存在に過ぎなかったという意味なのか。

タイロン・パワーは「愛情物語」でピアニストを演じて明るい役柄でいっそう引き立つように思われ、「情婦」での複雑な陰影を持つ役柄は適役とは思えなかった。

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