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2010年10月

シェーン

 「シェーン」

製作年: 1953年

製作国:アメリカ

監督: ジョージ・スティーヴンス

出演者: 

(シェーン)  アラン・ラッド

(マリアン・スターレット)  ジーン・アーサー

(ジョー・スターレット)  ヴァン・ヘフリン

(ジョーイ・スターレット) ブランドン・デ・ワイルド

(ウィルスン)  ジャック・パランス

「ストーリー」はキネマ旬報・映画データーベースから

頃は1890年。初夏。ワイオミングの高原に1人の旅人(アラン・ラッド)が漂然とやってきた。男は移住民の1人ジョー・スターレット(ヴァン・ヘフリン)の家で水をもらい、家族の好意で1晩泊めてもらうことになった。

男は名をシェーンと名乗った。妻マリアン(ジーン・アーサー)、1人息子ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)と3人暮らしのジョーは、かねて利害の反する牧畜業者ライカーに悩まされていたので、冬まででも働いてくれないかとシェーンに頼んだ。

シェーンは、何か心に決めたことがあるらしく、町の酒場でライカーの手下から喧嘩を売られたときも、相手にならなかった。図に乗ったライカー一味は、シェーンが再び酒場に現れたとき、また彼に絡み、今度は彼も応えて乱闘が始まり、シェーンはジョーの応援を得て群がる相手を叩き伏せ、酒場を引き揚げた。

怒ったライカーはシャイアンから人殺しの商売のウィルスンという男を呼び寄せ、移住民の1人、短気なトリーがウィルスンのピストルの最初の犠牲となった。

ライカーに農場の明け渡しを要求され、農民一同のために命を捨てる決心をしたジョーは単身敵の酒場に乗り込もうとしたがシェーンがそれを止め、肯ぜぬジョーを殴って気を失わせて、マリアンに別れを告げた。

馬に跨って敵地に歩みを進めるシェーンの後ろ姿をジョーイ少年が追った。酒場で、さすがのウィルスンも一瞬早いシェーンのピストルに斃れた。殆ど同時に3発目の弾がライカーを倒していた。

酒場を出ようとするシェーンの後を狙ったライカーの弟も一瞬のうちに命を失った。酒場の表に立つジョーイに、立派な男になれ、といって、シェーンは馬にのって去って行った。その後ろ姿に呼びかけるジョーイの叫び声が、ワイオミングの荒野にこだまして………。

Sien

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

「シェーン」を初めて観たのはリバイバル上映の時。ヴィクター・ヤングが作曲した音楽の方は、映画を観る前からラジオで何度か聴いていた。今回、DVDを借りて40年振りに「シェーン」を観た。

シェーンはたまたま通りがかったスターレット一家で一夜を過ごさせてもらい、翌日もスターレットに人手が欲しかったこともさることながら、一方シェーンも行く当てのない身上で結局スターレット一家に居付くことになる。

スターレットなどの開拓農民よりも先にこの辺りの土地で根付いていたのがライカーという悪徳牧畜業者。映画は要するに、このライカーと開拓農民とのトラブルから対決にまで発展して行く過程を描いたものである。

ライカーは用心棒に早撃ちガンマンのウィルスンを雇い、農場の明け渡しを迫る態度は露骨に脅迫じみたものになる。スターレットはライカーと酒場で話し合うことになるが、呼びつけたライカーの方は最初から殺して、けりを付けるつもりだ。

スターレットが単身で乗り込むところをシェーンが止め、殴り合いまでになってピストルの柄でスターレットの頭を強打して気絶させる。代わって酒場に乗りこんだシェーンと用心棒ウィルスンの対決。この決闘シーンが「シェーン」の最大の見どころである

ところでシェーンを演ずるアラン・ラッドは腕っぷしは強いのに、小柄な俳優ということもあって、乱闘シーンの殴り合いでは背の高い相手に伸び上って腕を振るっている所作が面白い。

主役としての活躍期間は短く、その後は陰りさえ見えてノイローゼになり、睡眠薬多用で50歳で亡くなったそうだ。一方、用心棒を演じたジャック・パランス、この俳優は長命で「バットマン」に出演しているのを見たことがある。

「シェーン」の見どころは他に、やはりスターレットの息子との交流。それからスターレットの妻マリアンに寄せるほのかな想い、マリアンの方も同様にシェーンを慕い、お互いに胸の内に秘めた触れ合いも、この映画の魅力だ。

告発

告発

製作年: 1995年

製作国:アメリカ

監督: マーク・ロッコ

出演者: 

(ジェームズ・スタンフィル) クリスチャン・スレーター

(ヘンリー・ヤング) ケヴィン・ベーコン

(ミルトン・グレン) ゲイリー・オールドマン

(ウィリアム・マクニール) ウィリアム・H・メイシー

「ストーリー」はgoo映画より 

30年代後半、サンフランシスコ。若きエリート弁護士ジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレイター)の初仕事は、アルカトラズ刑務所内で起きた殺人事件だった。被告は25年の刑に服役中のヘンリー・ヤング(ケヴィン・ベーコン)という若い囚人だった。

ジェームズの度重なる訪問に、ヘンリーは少しずつ心を開くが、事件のことには触れたがらない。だが、彼の発するわずかな言葉の端々から、刑務所内の実態が明らかにされていく。

劣悪な環境や副刑務所長グレン(ゲイリー・オールドマン)の残忍な拷問に耐えきれず、脱獄を企てたヘンリーは、仲間の裏切りによって狭く、寒く、日も差さぬ地下牢に閉じ込められる。

3年後、地獄のような日々から解放された彼は、裏切った仲間を見つけると、衝動的にスプーンで相手を殺したのだった。真相にジェームズは激しい憤りを感じ、彼を救うために勝つ望みのない裁判を戦い抜く決意をする。

裁判が始まり、ジェームズはヘンリーの無罪を主張し、非人道的な刑務所の歳月がヘンリーに殺人を犯させたと、逆に刑務所を告発する。それはアメリカの司法制度、ひいては合衆国政府に対する挑戦だった。

法廷は騒然となり、衝撃は瞬く間に全米に広がる。2人には様々な圧力や妨害が降りかかり、周囲の人々は彼らと関わるのを恐れた。有力な弁護士である兄バイロン(ブラッド・ダリフ)も例外でなく、事務所の同僚である恋人メアリー(エンベス・デイヴィッツ)ですらジェームズの元から去っていく。

一方、ヘンリーとジェームズの間には、いつしか立場を越えた不思議な友情と強い絆が生まれていた。裁判は苦戦し、いよいよ最終公判。ジェームズは最後の手段として、ヘンリー自身を証人として召還した。

だが、彼は意外にも裁判に勝ちたくないと言う。あの地獄のような日々に戻るくらいなら死刑の方を望む、と。裁判はジェームズとヘンリーが勝訴するが、ヘンリーはまもなく自殺した。この裁判をきっかけに刑務所内では様々な改革が行われ、やがて63年に完全閉鎖された。

Kokuhatu

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆ 

5ドルという、取るに足りないお金を盗んだ罪でヘンリー(ケヴィン・ベーコン)は25年の刑を言い渡され、アルカトラズ刑務所に服役する。その間に脱獄を企てるが、自らの意思というよりも仲間に引きずられてのことだ。

脱獄は囚人仲間の裏切りによって失敗し、ヘンリーは三年間もの長い間を懲罰と称して独房に収監される。刑務所の規則では一回に付き独房に収容されるのは19日が限度である。

一も二もなく、これはグレイ(ゲイリー・オールドマン)副所長独断の采配で、所長もあずかり知らぬことだった。光の閉ざされた地下牢で寝起きし、野外に出て日差しを浴びたのは、一年間のうちで僅か30分だそうだ。

ようやく地下牢から解放されたヘンリーは、たまたま食堂で脱獄を密告した仲間を見つけて衝動的に殺す。この殺人事件を担当したのが官選弁護士のスタンフィル(クリスチャン・スレイター)である。

スタンフィルにとっては初仕事であり、まずはヘンリーに会って事情の収集に努める。だが、ヘンリーは心を閉ざして容易に事件の真相を語ろうとしない。

ヘンリーに接した日々を重ねるうちにスタンフィルにとって断片的に分かって来たことは囚人に対して非人道的な扱いがアルカトラズ刑務所で行われたいたということだ。

スタンフィル弁護士は裁判の審理は殺人事件から一転してアルカトラズ刑務所の実態を明らかにすることを主眼にし、ヘンリーを殺人に至らしめたのは刑務所の不当な扱いだったと逆に告発をする。

刑務所の所長まで証人席に立たせる行為は、アメリカの司法制度ひいては合衆国政府に対する挑戦に等しく、スタンフィルの仲間や有力な弁護士である兄から猛烈な反対に遭う。

そんな環境にもめげずに裁判の結果は、固唾をのんで傍聴している陪審員の心を動かして死刑は免れる。その結果、アルカトラズ刑務所の地下牢は裁判から7ヶ月後に閉鎖され、1963年にはアルカトラズ刑務所そのものさえが完全に閉鎖に追い込まれる。

あの憎々しげなグレイ副所長は虐待罪で有罪になり、職場から放逐されたとのことだ。この映画は実話に基づいている。

ところで副所長役を演じたゲイリー・オールドマンという俳優は、このような狂気を含んだ悪人をやらせたら天下一品でうまい演技をする。

「レオン」という映画を挙げれば思い出すだろう。日本でも大ヒットした映画であり、レオンの住むアパートの隣室で家族皆殺しが行われ、その命令を部下にくだしているのがゲイリー・オールドマンである。

イヤホーンで音楽を聴きながらアパートに乗り込んで行く振る舞いは、まるで殺人を楽しんでいるかのようだった。

スクリーンで初めて観たのが「蜘蛛女」に出演しているとき。蜘蛛女を演じた女優にクセがあったのは言うまでもないが、ゲイリー・オールドマンはこの時から気になっていた俳優だから相当クセのある演技をしていたらしい。

コン・エアー

コン・エアー

製作年: 1997年

製作国:アメリカ

監督: サイモン・ウェスト

出演者: 

(キャメロン・ポー) ニコラス・ケイジ

(サイラス・グリサム) ジョン・マルコビッチ

(ダイアモンド・ドッグ) ヴィング・レイムス

(アルバート・マイク・ギブソン) トム・アーノルド

「ストーリー」はキネマ旬報 映画データベースより 

軍を除隊したキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は、酒場で妻にからむ酔っ払いと揉め、相手を殺害してしまう。第三級殺人罪(故意ではない殺人。日本の過失致死相当)で刑務所に服役するも、模範囚として仮釈放される事になり、囚人専用の飛行機「コン・エアー」に搭乗する事になる。

そこには、凶悪犯のサイラス・グリサム(ジョン・マルコヴィッチ)や、連続殺人鬼のガーランド・グリーン(スティーヴ・ブシェミ)等を始めとする凶悪犯が顔を連ねていた。

そして離陸後、凶悪犯の計画によって飛行機がハイジャックされ、正義感の強いポーは何とか事態を打破しようとするが………。

Conair

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆ 

一度映画館で観ている映画で面白かったことでもあり、今回DVDを借りて観なおした。酒場でキャメロン・ポーは、酔った勢いで自分の妻にからんで来る相手を殴り殺し、裁判の結果、懲役刑に科せられて刑務所に服役する。

刑務所に服役するきっかけになった、この冒頭の乱闘シーンはこの後のストーリーの展開を引き出すために取って付けたように感じるが、何もわざわざここで挿入しなくてもいいようなシーンで、服役することになった理由はともかく仮釈放されるところから映画が始まってよさそうなところである。

それはともかく模範囚としてキャメロン・ポーは仮釈放されることになり、囚人専用のコン・エアーという飛行機に乗り込むことになるが、そこには冷酷な殺人犯サイラス・グリサムなど一団の凶悪犯が顔を並べていた。

離陸するや、さっそくサイラスは計画していた行動に着手し、手の平の皮膚の中に忍ばせてある針金を取り出して手錠を外し、囚人仲間をも解放して、護衛の任務についている保安官を射殺あるいは人質にして飛行機をハイジャックする。

次の着陸地カーソンでは連邦保安官の手筈としては機内の囚人6人を降ろし、かわりにアラバマに送り込むべき囚人を搭乗させる段取りである。

キャメロン。ポーはカーソンで降りて自由の身になることも出来たが、機内に留まることにしたのは人質になっている女性護衛官を守るためと、病気を患っている仲間を気遣ってのことだ。

カーソンで新たに乗り込んで来る囚人が、さるぐつわでもかませたような仰々しい恰好で檻ごと飛行機に乗せられる殺人鬼ガーランド。37人もの殺人を犯したこのガーランドの存在はこの映画の中でなぜ登場しなければならないのかも不思議と言えば不思議。

映画は最後のクライマックスを迎えて激しい銃撃戦を繰り拡げるが、このガーランドはまったく第三者の立場で傍観。

幼女と話し込んでいるシーンを映して殺人に走るのか、と思って身の毛がよだって来たが、それも思わせぶりに過ぎなくて、何もここで割り込ませるような必然性もないと思うのだが。アクションとしてだけで観れば確かに面白い映画でした。

黒いオルフェ

「黒いオルフェ」

製作年: 1959年

製作国:フランス、イタリア、ブラジル

監督: マルセル・カミュ

出演者:

(オルフェ)  ブレノ・メロ

(ユーリディス)  マルペッサ・ドーン

(エルネスト)  マルセル・カミュ

「解説」はオールシネマ オンラインから

カルナヴァル見物に田舎から従姉セラフィナを訪ねた美少女ユーリディスは、彼女を乗せた市電の運転手オルフェと、祭りのリハーサルで再会。子供たちから“太陽”と慕われるオルフェには、派手好きなグラマーの婚約者ミラがいたが、ユーリディスの清純な美しさにすっかり参ってしまう。

その夜、彼女を従姉宅に送ったオルフェだったが、恋人の水兵シコと睦み合うセラフィナにすっかりあてられて、ユーリディスを抱き寄せると、彼女はそれを待ち受けていたかのように唇をくれた。

そして、愛しあって迎えた朝、彼は自作曲をギターで弾き語る(ルイス・ボンファによる『カルナヴァルの朝』)。と、どうだろう、子供たちに約束した通り、その音と共に朝日が上がった。

祭は本番。ユーリディスも従姉の好意で、彼女の衣装を着て、ミラの目をごまかしオルフェと共に踊るが、やがてバレてしまい争いが起きる。泣いてその場を逃げ出したユーリディスは、自分に影のようにつきまとっていた死に神の装束の男に追い込まれ、事故死。

翌朝、その亡骸を抱きかかえ、彼女と恋を語らった高台に来たオルフェは嫉妬に狂ったミラの投げた石を頭に受け、そこから墜落死してしまう。

だが、今度は子供たちの中から新たなオルフェの生まれる番。可愛らしい踊りを見せ映画は終る。ムラート(混血児)たちの褐色の肌の輝きを眩しく捉えたキャメラも最高だ。

Kuroi

☆☆☆ 観おわってから ☆☆☆

後から解説を読んでも、すぐには理解できなかった映画だ。解説では「黒いオルフェ」は戯曲「オルフェウ・ダ・コンセイサゥン」を映画化したもの、さらにその戯曲はギリシア神話の「オルペウスとエウリュディケ」に基づき、物語の舞台をカーニバルで盛り上がるブラジルのリオデジャネイロに移したとのことである。

そこで今度は「オルペウスとエウリュディケ」という神話の概略を読み、少しは雰囲気をつかむことが出来た。

映画の中でユーリディスにまつわりつくドクロの衣装をまとった男の存在が気になり、それが死に神らしいのだが、そのことばかりに捉われることでストーリーの本筋を見失っていた。

死に神は要するに死を暗示したものと割り切れば、ユーリディスの死は単なる事故死、そのように考えてもう一度映画を振り返ったら何となく分かったような気がした。

カーニバルを翌日にひかえて沸き立つリオデジャネイロの街。各地から押し寄せてリオデジャネイロの街に入るやいなやサンバのリズムに合わせて踊り狂う群衆。これが、群衆、一人残らず総出で躍り出すのだからすごい。

カーニバルの雰囲気を知ってそれだけでも楽しいが、しかし、映画自体は悲劇的な結末だ。オルフェがギターを奏でながら哀切に唄う主題曲、これは名曲中の名曲である。

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