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父、帰る

「父、帰る」

製作年: 2003年

製作国:ロシア

監督: アンドレイ・ズビャギンツェフ

出演者: 

(イワン)  イワン・ドブロヌラヴォフ

(アンドレイ) ウラジーミル・ガーリン

(父)  コンスタンチン・ラヴロネンコ

(母)  ナタリヤ・ヴドヴィナ

解説はシネマ旬報・映画データベースより

母子家庭の二人の少年と、12年ぶりに突然帰ってきた父親との小旅行を描く家族劇。

監督はこれが長編映画デビューとなるアンドレイ・ズビャギンツェフ。出演は本作撮影後まもなく不慮の事故で溺死したウラジーミル・ガーリン、子役のイワン・ドブロヌラヴォフ、主に舞台俳優として活躍するコンスタンチン・ラヴロネンコほか。

2003年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、新人監督賞、同年リュブリャーナ国際映画祭グランプリ、同年ザグレブ国際映画祭グランプリ、同年ロシア映画批評家協会賞、最優秀作品賞、最優秀新人監督賞、最優秀撮影賞ほか多数受賞。

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☆☆☆ 観終わってから ☆☆☆

DVDのジャケットの説明を読んで興味を持って観たのが「父、帰る」というロシアの映画。2003年のヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞、新人監督賞をダブル受賞したそうだ。

ロシア映画は戦争映画しか観たことがないが、他のジャンルは初めてである。

アンドレイ、イワン兄弟の七日間の日々を映画にし、一日目は肝だめしのようにして兄弟が仲間数人とかわるがわる高所から海に飛び込むシーンで、弟のイワンは高いところが苦手というところを描く。

ところで兄のアンドレイは弟のイワンをチビと呼んでいる。

二日目に突然、父親が12年振りに家に帰り、母親、祖母、アンドレイ、イワン兄弟は戸惑う。その12年の間の経緯、事情は映画では明らかにしていない。

その日の食卓で父親は息子を連れて旅行に出かけると切り出し、三日目から映画に登場するのは父親と兄弟だけである。旅行に出かけている間も父親は息子に対して優しく接するわけでもなく、口をきくのは用事のある時だけ、それも命令口調だ。

兄のアンドレイは徐々ながらも父親になつくのだが、弟のイワンは反感を募らせる。

あるところへ移動することになり、車の中で父親に聞えよがしに、なぜ魚のたくさん釣れる場所から他へ移動しなければならないのか、と不満をもらす。父親は車を止めてイワンを外に出し、ここで釣っていろ、と言ってイワンを置き捨てにする。

イワンは魚を釣る気にもならないでボッと過ごしているうちに雨が降り出して土砂降りになり、しばらくしてから父親の運転する車が戻って来る。

イワンを車の中に入れて、早く着替えろ、と父親はいたわりの声をかけるのだが、イワンはここで一気に不満をぶちまけた。“あんたが居なくても、今までうまくいっていたんだ”、“なんで旅行なんかするんだ、僕たちをいじめたいんだろう”と。

この場はひとまずおさまり、さらにひと悶着が起こったのが、旅行に出てから四日後の六日目。

ある島に渡ってから引き上げることになり、引き上げる合間をぬって兄弟は小舟を操って魚釣りに出かる。父親から腕時計を渡され、3時30分に出発するので3時には帰って来い、との約束だ。

ところが魚は思うように釣れず、海に浸かっている廃船の船底で大きな魚が泳いでいるのを発見し、釣り上げて島に戻ったのが7時。

腕時計を預けられたアンドレイは父親に叱られて平手打ちを数発くらう。責任は自分にある、とイワンは言って父親の振る舞いを怒り、ナイフを手にして父親に突きつける。

父親はそれを制止しようとしてイワンに近づくが、イワンはナイフを放り出して泣きながら島の奥に向かって駆け出し、灯台のような高い櫓に上る。父親も後を追って櫓に上るが、ところが、ここで思わぬ事態を招く。

意外も意外、やはり映画のキャッチ・フレーズ通りに衝撃的である。

さて、映画も終末を迎える段になって、このぎくしゃくした親子関係をどのように処理してスムースな関係に持っていくのかに興味津々だったのだが、しかし、それはかなわぬまま父親が転落死をしたのだ。

映画ではアンドレイとイワンの性格は対照的に描かれ、アンドレイは兄だけあって父親を理解している大人びた一面ものぞかせ、それとは裏腹にイワンに引きずり回されて事なかれ的なところもあり、そのために父親から責任回避をするな、とどやしつけられたりする。

このアンドレイも、父親を失って兄弟で島から引き上げる時にはイワンを敢然とリードし、このあたりは短い旅行で様々なことを体験し、その処し方を父親から学んだせいなのだろう。

父親の死体を乗せた小船が海底に沈んで行くのを、なすすべもなく、パパ~パパ~と泣き叫んで近くまで駆け寄るイワン。

本編が終わり、代わって映し出されるのが父親と母親の結婚早々のころの家族のアルバム。笑顔で写っているしあわせいっぱいの母親の写真。最後の一枚は赤ん坊のイワンを抱いている12年前の父親の写真。

「父、帰る」という映画、立て続けに二回も観てしまった。

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