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善き人

製作年: 2008年

製作国:イギリス、ドイツ

監督:ヴィセンテ・アモリン

出演者: (ジョン・ハルダー)  ヴィゴ・モーテンセン

      (モーリス)  ジェイソン・アイザックス

  
      (アン)   ジョディ・ウィッテカー

「解説」はオールシネマラインより

 
ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンが、自身の著書をヒトラーに気に入られたばかりに、ユダヤ人との友情や善き人であろうとする己の信念との狭間で苦悩を深めていく大学教授を好演したヒューマン・ドラマ。

英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。共演にジェイソン・アイザックス、ジョディ・ウィッテカー、マーク・ストロング。監督はデビュー作となる前作「Oi ビシクレッタ」で注目を集めたブラジル在住の新鋭ヴィセンテ・アモリン。

 1930年代、ナチス台頭のドイツ。ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダーは、家族思いの善良で平凡な男。ところがある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られ、渋々ながらも入党せざるを得なくなる。

しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいた。生き延びるためのやむを得ない選択ながら、モーリスへの後ろめたさに苛まれるジョン。やがて、ユダヤ人への弾圧が激しくなる中、ジョンはモーリスの国外脱出を手助けしようとするが…。

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☆☆☆ 観終わってから ☆☆☆ 

大学教授ジョンの安楽死を題材とした小説がナチス総統ヒトラーの目にとまる。安楽死と聞いてすぐにユダヤ人の大量虐殺のことが頭をよぎったが、見当はずれではなかった。しかし、小説のそもそもの主旨は治る見込みのない病に冒された家族を持つジョンの切羽詰まった心情を描いたもの。

ジョンはある日、ナチスの幹部に呼び出され、人道的な死についての執筆を依頼される。幹部と懇親になるにつれ、大学内での地位が高まる。初めから乗り気ではなかったが、やむを得ずナチスにも入党。

ジョンにはユダヤ人のモーリスという年来の親友がいる。ナチスはユダヤ人排斥をかかげ、モーリスは次第に身の危険を感じるようになった。だが、モーリスの切迫した心境が、ドイツ人のジョンには現実味を帯びて伝わらない。

国外脱出をはかるモーリスの手助けを一度は断ったことがその証左。ユダヤ人の迫害はますますひどくなる一方。ジョンが勇気を奮ってモーリスの国外脱出の手配をしたときには時は既に遅し。

ジョンにはナチスのユダヤ人排斥に関わる気など毛頭なく、ただ、僅かばかりの保身と家族の安寧のために時流に逆らわなかっただけ。これが、当時の善良なドイツ人の大勢だ。結果的にはナチスによるユダヤ人迫害を見て見ぬふりをしていたようなもの。

スクリーンの最後に映し出されたのが収容所で生活するユダヤ人の姿。老若男女の皆が皆、痩せこけて、そのむごさは目を覆うばかり、これが現実なのか、それとも幻影なのか、はかりかねているジョンの茫然とした姿が印象的だ。

そして、モーリスはとっくにこの世にいないのだ、と悟ったのもこの時である。


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